3億円のキケンな恋

さすがに仲間の到着が遅いと、茶髪の強盗犯も心配になってきたようだった。


そして、しきりに身体中のポケットに手を入れ、何かを探し始めた。




「あれ、おかしいな」



全身のポケットにない事を確認した強盗犯は、今度は床に落ちてないか身をかがめて探し出した。


「車に乗った時は確かにあったんだが……あ、そうか」



強盗犯は私の顔をチラッと見た。

何だろう。



「あの急カーブの勢いで落ちたに違いないな。
クソッ、連絡も出来ねぇのかよ」



急カーブの勢い…?


あ。

ここに来る途中の車内、急カーブの遠心力で茶髪の強盗犯と身体を重ねるようにシートに倒れた時の事だ。



落ちたとか連絡出来ないって…きっとケータイの事を言ってるんだ。



なかなか来ない仲間にケータイで連絡しようと思ってたのね。