3億円のキケンな恋

あんパンを食べ終わると、また小屋の中では沈黙が始まった。


聞こえてくるのは、つけっぱなしのラジオのニュースだけ。



銀行強盗のニュースはあれ1回切りで、その後は他の小さな事件やら地域の微笑ましいニュースばかりだった。


多分、この銀行強盗の事件で新しい展開はまだないんだろう。


それもそうだろう。

犯人の1人と人質の私は、ずっとこの山小屋の中に居るんだから。




そういえば…もう1人の強盗犯はどうなったんだろうか。




「…遅いな。
まさか捕まったとか…」



茶髪の強盗犯は、小屋のドアを時折開けては外の様子を見ている。


その様子を見るからに、恐らくもう1人の強盗犯を心配しているんだと思う。



車から降りる際、

撒いたら行く。

先に行って待ってる。

そんなやりとりをしていたような気がした。


うん、確かそう。


だからもう1人の強盗犯は、この山小屋に来る筈なんだ。