3億円のキケンな恋

強盗犯は立ち上がって何をするのかと思えば、壁の端に立って腕を組んだだけ。



逆ギレして撃たれるかも…とも思ったけど、でも何でだろう、この人はそんな事しないって何となく感じた。

で、案の定そうだったんだけど。



私はあんパンの包みを開けて、パクッとかぶりついた。



「……………美味しい」



強盗犯はフンと私の方から視線をそらすと、黙ってよそを見ている。



2口、3口と口に運び、お腹が空いていたのもあって、私はあっという間に完食してしまった。



そして包みの袋を縦に細く折って、それをクルッと紐のように括って床に置いた。



「あの…ごちそうさま…」



一応頂いちゃったわけだから、食べ終わった後もごちそうさまを言った。

すると強盗犯は更にフンッと鼻を鳴らした。



何だか…変な感じ。


あんまり悪い人じゃないみたいだから、恐い気持ちが薄れていくみたいだった。