3億円のキケンな恋

私はようやくもらったあんパンを手に取って見た。



さて、こんな薄汚い小屋にあったパン。

…賞味期限とか大丈夫かなぁ。



強盗犯だって、一瞬だって私から目を離さないわけじゃない。

ほんの少しでも視線から外れた隙に、袋を開ける振りをしながら裏の賞味期限欄をチェックしてみた。



ええっと、賞味期限は4月3日。



あれ?今日は3月の31日だよねぇ。


まさか1年前のパン?

なんてそんなわけない。



だとすると…これって買ったばかりじゃない?



今日車から降りてここまで来るのに、強盗犯は手ぶらだった。


なのにこの小屋にこんな新しいパンが置いてあるなんて…。

もしかして、この人ここに住んでるのかな。

こんなお風呂もトイレもないような所に…?



「何だよ!人の顔ジロジロ見て!
いらねぇんならいらねぇって言えばいいだろ!!」



私の視線を勘違いした強盗犯は、怒鳴って立ち上がった。