3億円のキケンな恋

強盗犯が…人質の私にあんパンなんか…。



あんパンから強盗犯の方に視線を移すと、強盗犯は別のパンを早くも口に入れていた。



「何だよ。
食わねぇのか」



「あ…えっと…。
手が…」



私の腕は、強盗犯にロープで身体ごとグルグル巻きにされているから自分じゃあパンを開けて食べるって事が出来ない。


自分で縛っておいて忘れていたらしい強盗犯は、ようやく気付いたようで照れ隠しにか小さく舌打ちをした。



「しょうがねぇな…っ」



強盗犯は食べかけのパンを口に挟むと、私の身体に巻いたロープを外し始めた。

ロープだからなかなか外れないもんだけど、私があんまり抵抗しなかったからそんなに締まってなかったみたい。




え、て言うか人質にパンを与えた上に、その為に縛ってたロープまで外しちゃうの?



ギュッと縛られていたロープを外されると、巻き付いていた部分の血が圧迫から解放されて一気に流れたような感覚になった。


やっぱりロープの痕は食い込んでいたから多少は痛い。


だけど、外してくれただけもちろんありがたいってものよね。