3億円のキケンな恋

身体の自由を奪われた私は、とりあえずその場に座り込んだ。


こんなになったらもう、どうにもならない。

辛いけど…警察が来て助けてくれるのをずっと待つ事しか出来ないわ…。




そんな中、強盗犯は小屋の中からラジオを引っ張り出してつけた。


局を合わせ、ニュースを聞いている。


そっか…。

こんな時、強盗犯は自分たちの起こした事件がどのように世間に広まってるか気になるんだわ。


私も一緒に耳を澄ませて聴いてみた。




『…今日の午後…○○市△△の銀行にて…2人組の強盗犯が押し入り……』



こんな山の中だもの、電波が届きにくいみたい。
所々、音が飛んでちゃんと聞き取れない所がある。




『…その強盗犯は…若い女性を人質に………そのまま逃亡……』



若い女性って私の事だ!!

よかった、人質に取られてる事ちゃんと伝わってるよ…。



『尚、犯人の……は身長175センチくらいで…黒いキャップにサングラス……』



私がサングラスとマスクを落としちゃって、顔の特徴がバレてる事はなかった。

多分この強盗犯は窓口側を背にして、壁側の私の方を向いていたから誰も素顔を見てないんだ。


やっぱり、この強盗犯の素顔を知ってるのは私だけなんだ…。