3億円のキケンな恋

「ヤダ、ちょっと、開けて!
こんな所に1人にしないで!!」



閉じられたドアをドンドンと叩き、まだすぐそこにいる筈の強盗犯に懇願した。


私を閉じ込めておく為にここに連れて来たの?

ずっとこんな何もない狭い所に閉じ込めて飲まず食わずの生活をさせて、餓死させる気なんじゃあ…!



私が強盗犯の顔を見ちゃったから…、私がマスクを引っ張って素顔を見ちゃったから…

私を殺して口封じするんだ…!!



「いやぁぁぁー!!
こんな所でずっと死ぬまでいるなんてぇ、絶対イヤ!!
お母さぁぁぁん!!」



「うるせぇ!騒いだら撃つって言っただろうが!!
すぐに戻るから黙って待ってろ!!」



ドアの向こうから聞こえた強盗犯の声。


すぐに戻る…?

どうして?何をしてるんだろう…。


私はドアに耳をつけて外の強盗犯の様子を探った。


すると…

聞こえてくる、水が流れるような音。


…ああ。

強盗犯だってトイレ我慢してたんだ。


ていうかヒドい!

私には恥ずかしい思いさせて自分は1人でするなんてぇ!!