あの日、私の弾き落としたサングラスを拾った強盗さんは、尻餅をついている私の手を掴んで言ったの。



――「クソっ
  お前も一緒に来い!」


それが、私と強盗さんの始まり。




まさかニセモノの拳銃なんて思わなくて、突きつけられて最初は恐かったよ。



でも何日か生活を共にして、だんだん気付いたの。


強盗さんの私を思いやってくれるところ、スゴく嬉しかった。


南に襲われてる所を本気で怒って助けてくれた時もそうだった。


そうやって、私の心はだんだんと強盗さんに惹かれていったの。




「強盗…うぅん、ちゃんと名前で呼ばなきゃね。
後藤さんっ!」



ノブをまわしてドアを開けた。



私のせいで南とケンカになっちゃったし、私の為に3億を手放した後藤さん。


私の事を、3億以上の価値があるって言ってくれた後藤さん。


私の心を強盗した後藤さん。



そう、私がしたのは3億円のキケンな恋。




「優!」



「後藤さん!」



玄関をくぐると、後藤さんの姿が見えた。



ローファーを脱ぐのも忘れた私は、そのままかけって両手を広げた後藤さんの胸に飛び込んだ。




大好き!
大好き!



最初に出会ってからは随分日にちが経ったけど、今日が私と後藤さんの再スタートの日。



今度こそずっと、ずっと一緒だよ!



愛してる。

私だけの強盗さん。














オシマイ(^^)