3億円のキケンな恋

「お疲れ様でした!
お先でーす」




17時。

ようやく待ちに待った仕事上がり。


テキパキとやるべき事は済ませて、さっさとお店を出る。



ローファーを弾ませながら、アパートまでの一本道をパタパタと走った。



アパートのカギは、強盗さんに預けたがらバッグには入っていない。


だからあれは夢でも何でもない、間違いなく強盗さんは私のもとに帰ってきてくれたんだ。


今アパートには、強盗さんが私の帰りを待ってくれている。



思い切り全力疾走でアパートに向かっているので、胸も横っ腹も痛くなってきた。


息も弾んで呼吸が苦しい。


だけど、早く強盗さんに会いたくて私はアパートまで止まらずにずっと走り続けた。



あの日、私がアパートに帰った時には強盗さんは居なくなっていた。


もう、そんな事はないよね。

もう、私を1人になんかしないよね。





「…はぁ…はぁ…はぁ……っ」



肩で息をしながら、アパートの前で息を整える。


強盗さん…!


私は震える手で、自分の部屋のドアノブに手をかけた。