テレビからのニュースを見ると、強盗さんは自首をした際、南の所在も強盗したお金の事もみな正直に警察に話したようだった。



ただ人質の私の事については解放はしたとだけ話したようで、ここにいるとかそんな事は言わなかったみたい。


だから警察はここに来る事も、職場に連絡が来る事もなかったんだ。



「預けとくって…強盗さんの…バカ…っ!」



何にも言わないで、こんな紙切れ1枚残して行っちゃうなんてっ。



ギュッとその小さな金のピアスを握りしめた。



はらはらと流れる涙が頬を伝い落ちていく。





これで、私と強盗さんは何の話も出来ないまま、それっきりになってしまった。