3億円のキケンな恋

エプロンを外し自分の荷物を持つと、私は店長さんに深々と頭を下げ店を出た。



「今店にいるパートさんにはぼくから言っておくから。
帰り、1人で大丈夫かね?」



「ありがとうございますっ!
大丈夫です、うち近いですからっ」



「じゃあ気を付けて。
お大事にね」



どこまでも人が良いって言うか優しすぎる店長さんには頭が下がる思いだ。


うちに帰っても、強盗さんの顔さえ見れたら安心出来る。


めまいや動悸を起こしたりするくらい動揺しちゃうなんてって思う。


だけど、強盗さんが捕まっちゃったら…これから私、どうやって生きていったらいいの!?



かかとの低いローファーを鳴らしながら、うちのアパートまで全力疾走した。


それでなくともバクバクしている心臓が更に激しく動き、壊れてしまうんじゃないかってくらいの勢い。



…早く、早く帰って強盗さんの顔が見たい!!



…強盗さん…!