3億円のキケンな恋

速報の字がテレビから消えても、尚私はテレビの方を見ていた。



そこに、昼休みを終えて店に帰ってきた店長さんが従業員用出入り口から入ってきた。



「おや、相沢さん。
ただいま」



「…あ、店長さん……」


「相沢さん…っ
顔色が良くないよ?大丈夫かね。
まだ体調が完全に治ってないんじゃないかね?」


ボーっとしながら帰ってきた店長さんの方を振り向いたら、私の顔を見た店長さんの方が驚いて近寄って来た。



顔色が、悪い?




「熱は…ないようだが、具合が悪いようなら今日はもう帰っていいよ。
無理をして余計に体調を崩しちゃいけないからね」



私の額に手を当てた店長さんが私をとても心配してくれた。



「いえ…そんな…
私なら大丈 夫…」



何だか頭が真っ白になって身体もふわふわする。


捕まった強盗犯がどっちなのか。

早く帰って強盗さんの安否を知りたい…!


もし強盗さんが家に居なかったら、私どうしよう…!!


頭の中だけじゃない、目の前までが真っ白になっていき、バタンと倒れる音が私の耳に聞こえた。


「相沢さん!」



それが私が倒れた音だという事に気付いたのは、もう少し後の事だった。