3億円のキケンな恋

ウソつきな自分の顔を見られたくないってのもあり、私は深々と店長さんに頭を下げて謝った。


せっかく雇ってくれたのに、いきなり連休かましちゃってるもんね。


これがあの銀行とかだったら…間違いなくクビだったかなぁ?



「あぁ、そんなに頭を下げなくていいよ。
ずっと大変だったね」



そう。
ずっと大変だったんです。

なんて、言いたいけど言えない。


だけど、大変だったからこそ…よかったんだよね。



「ま、何にしても、とりあえずは中に入ろうか。
いやいや、相沢さんがうちに来てくれて本当に良かった」




クルリと振り返ると、店長さんはさっきの職員用出入り口に入った。



私もパタパタと走って店長さんの後を追うように入った。



…チラッと後ろを振り向いて、駐車場のワゴン車を見た。


あの車のスペアキーは…今私のアパートにあると思う。


テーブルに置いた2つの車のカギを思い出した。