3億円のキケンな恋

まだ空気の冷たい春の朝。


ブラウスに吊りスカート、カーディガンの私はローファーを弾ませながら職場まで歩く。




平坦な道を10分ほど歩けば、あのでっかい『本』の字が目印の本屋さんに着く。


まだ時間は8時15分。

開店が9時からなので、当然店内の照明もついていない。


スタッフは正面入り口ではなく、裏の職員用出入り口から入ると初めに聞いたので、建物をグルッと回って裏側に行く。




その際、チラッと隣の銀行の様子を見てみたのだけど、まだ開店時間じゃないからかシャッターも閉まっていて、今も営業停止になってるのかどうかはまだわからない。


まだ解決していない事件の現場なのだ。

多分、まだやってないかもしれないな。


そんな事を思いながら本屋さんの裏側に回って来た時、私はあるものに目を奪われた。



「…………………!」




…あの白い軽のワゴン車だった。