3億円のキケンな恋





「…で。
これが朝メシか?」



ロクな食材が揃わないうちのキッチンで作った朝ご飯ってのが、ホットケーキ…だった。


しかも卵も牛乳もまだ買ってなかったから、粉を水で溶いただけ。


ホットケーキの甘い香りが部屋の中を充満した。



「だってここに越して、まだまともな買い物行ってないんだもん」



「野菜はあるのにな」


「…お肉とかより野菜の方が好きだし…」



「それで野菜の次がケーキミックスなんだな」



あれは非常食として実家から持ってきたもの。


少々置いといても腐らないし、食べたい時にパッと作れてホントお手軽だもんね。



「…ごめんなさい。
こんなんじゃご飯にならない…よね…」



男の人なら、朝からでももっとガッツリ食べたいって感じなのかも。


私はそんなに朝から食べないから、こんなんでも全然いいんだけどなぁ。



「…フッ。
いいよ、お前が作ったんなら何でも食うから」



…わ。

なんか…初めてまともに笑ったとこ見たかも。