「そりゃそうと、知ってるか?
俺な、世間に顔が割れちまったんだ」



ドキン とした。



監視カメラの映像から素顔がバレちゃったのは夕方のニュースで見たから私は知っていた。


今話している最中も、テレビはついていて深夜番組をやっている。



私より先に起きていた強盗さんなら、その間にニュースを見たのかもしれない。



強盗さんには知ってほしくなかった。

ますます捕まっちゃう可能性が高くなっちゃったんだもんね。



それでなくても、ここのアパートはあの銀行から割と近い位置にある。


かくまってられるのにも限界があるかもしれない…。



「強盗さん…出て行っちゃうの?」



「さぁな」



「イヤ。
捕まっちゃうのもイヤだけど、私の前からいなくなっちゃうのはもっとイヤだよ!」



くるまった毛布の中で、私は強盗さんの身体にギュッと抱きついた。



ずっと一緒に居られると思ってたのに。

やっと結ばれたばかりなのに。


私は…強盗さんと別れたくないよぉ!