「…ねぇ?銀行のお金、全部置いて来ちゃって…いいの?
もしかして…私のせいで南に全部あげちゃったのかな」



お金が惜しくて、私を人質にして車の中に落としたケータイを取りに行ったんだよね。


なのに戻ってみたら私が襲われてて、助けてくれたばっかりに南とケンカになっちゃって。



…よく考えてみたら、強盗さんの計画をみんなダメにしてるのは私だ。


私が人質として捕まらなければ、今頃強盗さんは南と仲良く3億円を山分け出来てたんだろうな。


何も得ていないのに、強盗さんに罪だけ被せちゃったのは私なんだ…。




「なに1人で落ち込んでんだよ」



「だって、私のせいで…」



「勘違いすんなよ。
金なんて惜しくもねぇ。
俺は3億以上の価値のあるもの、盗んだぞ」



「え…?」





「あなたの心です。
…てか。
何の名セリフだったか」



「…強盗さん…」



胸の中がぶわっと熱くなり、強盗さんを見つめる私の視界が涙で歪んだ。