3億円のキケンな恋

車道をまっすぐ走ると、懐かしいうちの本屋さんのでっかい『本』の字が見えてきた。


もう、これ以上この車に乗ってられない!


私はここで、強盗さんとお別れしなきゃいけないんだ。




「お、やっと赤になったな。
じゃあここで降りろよ」



あの銀行のある200メートル手前の交差点に来た。


運良くずっと信号で止まる事はなかったのに、こんな所でとうとう赤信号につかまってしまった。



「ご 強盗さん……」



「何だよ?」



「よかったら…うちに居ない?」



「………………は?」




ずっとフロントを見ていた強盗さんも、私の発言に理解が出来ないみたいでさすがに振り向いた。



「ずっと…逃げ回る生活するんでしょ?
だったら、うちのアパートに居たらいいよ。
うちには、私しかいないから…」



「何言ってんだお前。
俺は強盗犯でお前は人質だったんだぞ?」



「だってほらさ、人質の私が強盗さんの事を通報しちゃうかもしれないよ。
それでもいいの?」



…もっともらしい事を言ってみた。

強盗さんを本気で警察に突き出す気なんて、私にはないかもしれないのに。