3億円のキケンな恋

その時、パトカーのサイレンの音が小さいけれど聞こえてきた。



「オイ、ケーサツ来たぞ」



サイレンの音は1つではない。

きっと何台かがこっちに向かって来ているようで、その音はだんだん大きく聞こえてくるようだった。



「クソっ
捕まってたまるかってーの!」



運転手の強盗犯はグッとアクセルを踏み込み、一気にスピードを上げた。

その反動でシートベルトをしめていない私とすぐ側にいる強盗犯は一緒になって後部座席に倒れ込んだ。



「きゃっ」



私の上に覆い被さるように倒れ込んだ強盗犯の顔が、すぐ目の前にあった。



サングラスもマスクも外し野球帽だけになったその顔は、凶悪犯みたいなガラには見えなかった。

だからって別にイケメンってわけでもないんだけど、とりあえず年は30才くらいで帽子からはみ出る髪は茶色い。


よく見たら、左の耳にだけリングのピアスをしている。


そして身長も高いからか、間近に見て余計に大きく感じた。



これが…私を誘拐した銀行強盗犯なんだ…!