…ゴソゴソと物音がして目が覚めた。


あれ、私ってば今まで寝てたのかな。

眠ってた感覚はないものの、起きてた記憶もない。


壁にもたれて眠っていた南が、急にドアを開けて外に出た。



残された小屋の中には、縛られた私と大金の入ったリュックとナイフ。



…ナイフ!


今なら…奪えるかも。



私を縛るロープを切る事のできる唯一のアイテムだもの。


だけど、手に入れた所でなかなか扱える状態じゃない。


どうにかしてロープを切らなきゃいけないけど、自分の力だけじゃ絶対無理だよ…。


でも凶器は奪っておいた方がいいのは確かよね。


あんなものいちいち振り回されちゃ危なっかしいもの。



「……………」



外に出て何してるんだろ。

開いたドアから外を伺おうと、身体を伸ばす。


ひゅうっと小屋の中に入ってきた夜風が冷たくてゾクゾクっとした。



「……クシュン!」



私のくしゃみと同時に、外に出た南が戻ってきた。



…ズボンのチャックを閉めながら。