3億円のキケンな恋

「か 返しやがれ!!」



落ちたサングラスを拾った強盗犯は、次に尻餅をついている私の手を掴んだ。



「やっ」



どうして早く逃げないのよ!

まだ私に何の用なの!?



「クソっ
お前も一緒に来い!」



銃口をこめかみに向けたまま、私は脇の下に腕を回され持ち上げられた。



「きゃぁ!」



もともと体型は小柄な私。

175cmはあろうこの強盗犯からすれば、152cmの私くらいひょいっと持ち上げる事は容易なのかもしれない。


小食だから体重だって45もないもんね。



「動くんじゃねぇぞ!
動いたらコイツの頭に風穴開くからな!!」



風穴って!

冗談なら冗談って言って!



被っていた野球帽のツバをグッと深く手前に引っ張り、私の頭でなるべく顔を隠した強盗犯は最初に逃げた1人を追うように銀行を出た。


ちょっ
私をどうするの!?

どうして離さないの?