二人は俺らを無視しながら、挨拶を交わしていた。
他の部員は、荷物があるので後に来ると沙良は言っていた。

『すみません。こういう時は部長が迎えるのが礼儀なのですが、忙しい方で。試合の方も少し遅れてきますので、申し訳ありません、ご了承いただけますか?あと後ろの方々は?』

「ただの応援です。気にしないで下さい。」
俺は一応頭を下げたが、隼人は佐藤さんの事しか見ていなかった。佐藤さんはただニコッと俺らに笑いかけてくれた。
同じ高校生とは思えないほど、丁寧な口調に呆気にとられた。
『そうですか。もし試合だけ見ているのも退屈だと思いますので、生徒はおりませんが校内を回ってもらっても大丈夫ですので。』



そこから弓道場に歩いている時に沙良が、
「差し支えなければでいいのですが…部長さんが忙しいとはどういう事でしょうか?」
俺も気になっていた、今日は祝日で学校は休みだ。しかも今回の練習試合は1ヶ月ほど前から決まっていたらしい、それなのに部長は自分の都合優先なのか?
俺の部活なら、普通に殴られている。木刀でだが…