「 痛いとこない？
大丈夫？ 」


かぁさんの問いに
ボクの腕の中で
小さく頷いた。

唯愛ちゃんの頭を
軽く撫でてから


「 寿弥、そのままお願いね。 」


かぁさんは、
携帯片手に
ここから離れた。


どれくらいの時間が流れたのだろう。

唯愛ちゃんが
落ち着いてきた頃に
父さんも帰宅した。


「 唯愛ちゃん、大丈夫か？ 」


父さんの問いに
唯愛ちゃんは、
ボクの手を握り…
さらに強く握りなおして


「 寿明さん、真子さん、
私…
思い出したんです。
パパとママのこと、
パパは
私とママの名前を
ずっと呼んでいてくれた。
ママは
頭から血が流れているのに唯愛は大丈夫？
痛いとこない？
唯愛、
ママもパパも
ずっと一緒だからね、
大丈夫だよ。
って
ママは
私のシートベルトを外して抱きしめてくれたの。
そしたら、
ママが涙流れてね…。 」