手にしたストラップを ギュッと握ると、 あたしは日野先輩の後ろ姿を眺めた。 現実にあんな人、いるんだ。 誰にでも態度を変えないし、 気をつかってくれる優しい心。 透き通った綺麗な瞳に 思わず見とれてしまうかっこ良い顔。 どうしよう、あたし…! ──グシャ…。 その音に気づき、 瑠未は足元に目をやった。 「教科書っ…! こんなとこにあったんだ…」 土がついてて、 ほぼ茶色に染まってる。 運が悪かったのか、 水溜りに落ちたようだ。 ビショビショに濡れている。