「まだ…、和真には言ってないことがあるんですよ。」

ハル先生と2人になったカズマ君のお父さんが言う。

「飲酒運転だったんです、トラックの運転手は。

皮肉なもんです。

酒屋の息子が…」

「長谷部さん…」

「それでもこの仕事は辞められないんです。

問題なのは別のことでしょ?

それに…‥」

カズマ君のお父さんは、ハル先生を店の中に案内した。

「あの絵、佑真が描いたんです。

自分が警察官を辞めて店を継いだとき、

警察官よりお父さんは、酒屋の方が似合ってるねって。

辞められないんです。

息子に
認められた仕事ですから。」

その絵はお店で働くカズマ君のお父さんと、

その横にはカズマ君のお兄ちゃん、

おなかの大きなカズマ君のお母さんが描かれていた。

「まだ続くんです、この問題は。

多分、一生…

いいですよね?
全部話さなくても。

私にですら、



重い荷物ですから。」