*春待つ疑問符*

そして、先生はしばらく僕んちで暮らすことになった。

お父さんは嬉しそうで、
お母さんも嬉しそうで。

僕も嬉しかった。

入学式の帰り道、
みんなで寄った田んぼで、おたまじゃくしを見ながらイチゴちゃんが
“ハル先生はさぁ…”
と言ったことから、先生は
“ハル先生”
とみんなに呼ばれることになった。


僕はたまにハルトくんと呼ぶ。
お母さんは先生と呼びなさいと言うけど、お父さんもうちではハルトくんと呼ぶからいいんだ。


ハル先生は入学式の日の夕方、少しの荷物と共に僕んちにやってきた。

僕のお父さんはすぐにお酒の席にハル先生を誘った。

僕もお母さんにオレンジジュースをもらって参戦した。

「タマキとハルトくんに乾杯!!」

お父さんはご機嫌だった。

僕はお父さんとハル先生のコップに勢いよく乾杯をしたら、オレンジジュースが飛び散った。

「タマキ!!もう」

お母さんは怒ったけど、お父さんは笑った。

「先生、本当に迷惑かけると思いますけどよろしくお願いします。」

お母さんは左手でジュースをふきながら、右手で今日3度目の僕の頭を抑え、ハル先生に僕を頼んだ。

ハル先生は、笑って

「こちらこそよろしく。」

と、僕に右手を出した。