花町の町長から話を聞いた時に瞬時にそう感じた。
きっと自分一人では歯が立たないということもーー。
だからこそ会ったこともない男を頼りに訪ねてきていた。
陰陽師の正統な血筋をもつ青年に。
噂によれば此の花町で男娼屋を営んでいるはず。
その噂を信じここにいるわけだが、彼を知っているものが少なく
情報をつかめずにいる。
そうこうしている内に、すっかり辺りは暗くなっていた。
雅な笛の音が聞こえ、美しい灯籠で町は灯されている。
より一層な妖しさを増していた。
ふと、視線を巡らすと、裕福そうな男に声をかける少年が視界に入った。
身なりからして男娼に間違いなさそうだ。
この花町でも男娼を扱う店は少ないはずーー。
この子に付いて行ってみよう。
客を店まで引っ張って連れて行く少年の後をこっそり
付いて行った。