そう思って覚悟を決めたその時……




ピリピリピリピリ。



翔君の携帯が鳴った。




またしても、グッドタイミング。



覚悟決めてたのに…




って、私ってば何考えてんの??



いやいや。




翔君が何考えてんの?って感じだよ。



「何だよ、聡」




聡君?もう待ち合わせ時間かな?



時計を見たら、まだそんな時間じゃない。




あっ……もしかして……。



「そうか。よかったな」




全然、気持ちこもってないし……。



それもそうか。優樹奈ちゃんが好きなんだから……





素直に喜べるわけないよね……。




切ない……。



何て切ないんだろう。




「何で、泣いてるんだよ?」




えっ……?



私、泣いてる??




自分でも気づかなかった。




「分かんない……」



ふわり。




涙を拭うよりも早く、翔君に抱きしめられていた。




「泣くなよ……」



抱きしめてくれてた胸を離して、涙を拭ってくれた。




あんまり優しくしないで。



お願い。



これ以上、苦しめないで。