「行ってきまぁす」




学校までは、自転車で20分ぐらい。


バスで行こうと思ったけど、お父さんが早くに亡くなって、お母さんになるべく負担がかからないように自転車通学を選んだ。


学費もバカにならないもんね。




途中で、翔君を見つけた。


何て声かけたらいいんだろう。





私――川島 夏希(カワシマナツキ)。16歳。


そして、少し前にいるのが幼なじみの相原 翔(アイハラショウ)。 同じく16歳。



見知らぬ人じゃないんだから、普通に挨拶すればいいのに…




何で、考えなきゃいけないんだろ?



幼なじみなのに……





「おはよ…」



普通に言えたよね?


通り過ぎようとした時…




「おい!!」



キキキキキィ!!!!!


思わず急ブレーキをかけてしまった。




今、呼んだ??


私??




当たりを見回しても私しかいないよね?



「何、キョロキョロしてんだよ?」



「なっ、何?」


何で緊張してんの??


「今日の夜、家にいるか?」



「うん…いるけど何で??」


「いや…うちの両親が今日から旅行に行くんだよ」



りょっ…旅行??


翔君を1人置いて??




確かに、翔君の親は周りが恥ずかしくなる程の仲良しぶりだったけど……


今も相変わらずって事??