愛想笑いを続けて3時間。
ようやくお開きとなった。
お店を出ると、店と外の温度差でブルッと体が震える。
息が白く染まった。
この3時間で得た情報は、
あのしつこい男がたっくんと言うらしいってことぐらい。
他の女子がそう呼んでいたんだ。
本名は聞いたけども、興味もないから忘れた。
半ば無理やり、たっくんと交換させられたアドレスは後で消してしまおう。
そんなことを考えながらも、
これで帰れると思うと、心なしか気持ちが浮上してくる。
さようなら、たっくんとやら。
でも、甘かった。
年下とはいえ、あたしよりもずっと異性慣れした男たち。
クリスマスを目前にして、気に入った女は離さないってことか。
たっくんが、「二人で飲みなおさないか」なんて囁いてきたんだ。



