泡沫のキス





「だって、そうでしょう?
誰も彼女の、人間に恋した気持ちなんて分からないのよ?
なのに、歌えるわけがないわ」


「……マリアは、すごいわね」


その見解に、みな頷きました。


「私、この歌が大好きよ。
だから、もっと上手く歌いたいの」


マリアは胸に手を当てました。


「人間に、恋をしてみたいわ」


けれども、その言葉に先生は怒りをあらわにしました。


「それだけはいけません、マリア!」