「・・・来ないんだと思ってた」 俺が部屋に入った瞬間、廉がそう言った。 廉はこの頃から長い入院生活のせいか、どこか冷めていて口数が少なかった。 「色々あってね~」 その色々を言いたくってウズウズしたが、廉に言ってもしょうがない。 「ふーん・・」 興味無さそうに窓の外を見つめていた。 その日、俺は綾香で頭の中が一杯だった。