「だぁれ?」
可愛らしい泣き声で言った。
「ぼ・・・くは、竜」
あまりに可愛らしい表情に緊張してついどもってしまった。
「竜くんは、私を捕まえない?追いかけない?」
言っている意味が全くわからなく、何も返事が出来ずポカーンとしていた。
「ごめんね。今の冗談。私、綾香。」
そう言って、柔らかく笑った。
「綾香ちゃんって呼ぶね!綾香ちゃんはなんでここにいるの?」
見た感じ何も悪いところは無さそうだった。
「綾香ね、心の病気にかかっちゃったんだ。誰かが追いかけて来る幻覚を見たり、いきなりパニックになっちゃうんだ」
「そうなんだ・・・」
幼かった俺はその意味をよくわかっていなかっただろうけど、綾香の表情からは大変さ、悲しさが伝わってきた。



