「杏、僕お腹空いちゃった。早く行こうよ?」 ……まだまだ猫っぽいところがあるのにさ、急に男らしい。 コウの気持ちがひしひし伝わってくる。 コウは何もできずにいる私の手を引っ張り、アパートの部屋に入ろうとした。 「……杏。」 後ろから聞こえたその声に、私は思わず立ち止まる。 「……また、来るから。」 ……その言葉が、何よりの恐怖だった。