「はい。……えっ、今日ですか?今日は私、入ってなかったですよね?……あぁ、そうですか。いや、行けないことはないんですけど……」




……どうしたんだろ?



僕の顔をチラチラ見て話をしてる……。



「はい、分かりました。30分くらいで行けると思います。」




そう言ってけーたいでんわを切ると、僕の顔をじっと見て、困ったように笑った。




「どうしたの?杏。」




「……あのね、今日はバイトじゃなかったはずなんだけど、急にバイトに出てほしいって言われちゃって。」




「……ばいと?」




また、よく分からない言葉だ。




「あー、バイトっていうのはね……何て説明したらいいんだろう?」




杏はそう言って僕の帽子を外した。