コウはちゃんとした人間じゃない。



猫と話せるのも、尻尾や耳だって不完全な証拠だ。



……そんなコウが私の一番になれるのだろうか。




そんな不安が沸々と私の心の中に湧いてきたのだった。




「よかったねぇ。杏はね、とっても優しいんだよ。」



コウの足下を歩く猫は、コウのそんな言葉ににゃーと鳴いた。



「そうなんだ。いつもエサをくれる人が風邪なんだ。」



周りから見たらすごく異様な光景だと思う。



コウはそんなこと何も気にしてないだろうけど。