そこには、びしょ濡れの真っ黒い子猫が入っていた。 小さな声で鳴きながら、今にも死んでしまいそうにしている。 ……みんな、この子に気づかないでいたのかな。 いや、そんなわけないよね。 気づいてたのに、無視したんだ。 「……大丈夫?」 私は、その真っ黒な子猫を抱き上げて、出来るだけ優しく話しかけた。 ……私の胸の中で、震えている。 「……とりあえず、私のところにおいで。」 私がそう言うと、真っ黒な子猫は、にゃーと一声鳴いた。