「……コウ?起きたの?」
それからしばらくして杏は、またベッドにやってきて、僕に話しかけてきた。
「……コウ?寝てるの?」
僕は震えながら、口を固くつぐんでいた。
「……ねぇ、聞いて。私、コウの一番になりたい。」
……杏は僕が眠っていると思ったのかな?
そんなことを口にしながら、僕をしっかりと抱き締めてくれた。
……杏が何であんなに辛そうにしてたのか、僕には分からない。
今の僕には聞く勇気もない。
でもね、杏。
一つだけはっきり言えることがあるよ。
杏は、出逢った時から僕の一番なんだ。
僕が杏の一番になりたいんだよ。
僕は、心の中でそんなことを思いながら、杏の胸の中で再び眠りについた。


