「あら……何か聞こえた。」






「えっ?」






美樹は突然、そう言って足を止めた。






「……にゃあ。」






「猫?」






私は美樹のその言葉に、辺りを見回した。






「あそこだ。」






私は思わず、足をその段ボールの方へ向けた。






「ちょっと、杏?」





美樹の言葉も耳に入らない。







あの日のことを思い出してしまったから。