「杏。僕は杏を裏切ったりしない。ずっと杏の隣にいさせてね。」 「……コウ。ありがと。」 それは一瞬だったかもしれない。 あるいは、とてつもなく長い時間だったかもしれない。 僕にはその感覚は分からなかったけれど、 杏は僕に優しく唇を重ねた。 「……何?今の。」 僕がそう尋ねると、杏の顔は真っ赤に染まっていて、涙はもう止まっていた。