「っ!!!何やってるんだ!!?」

小声で天使に問いかけた。

「今日は暇なんであなたの観察に来ました。」

天使は大きな望遠鏡をのぞきながら俺を見た。

「誰かに見つかったらどうするんだ!!?」

俺は彼女を持ち上げ人気のない所に連れて行った。

「大丈夫ですよ。私のことはあなたしか見えませんから 。」

彼女はニッコリと笑った。

「先に言ってくれよ…。」

「あの…この会社ちょっと臭いです。」

鼻をつまみながら彼女は言った。

「まあ会社といっても工場の横にある小さな事務所だからさ。それより少し時間あるかな?」

「なんですか?」

「名前教えてくれないかな?俺たち自己紹介もまだだろ?俺の名前は…、知ってるかもしれないけど松本あきらっていいます。」

「私はマナ!見習い天使だよ。」

彼女はフワフワ浮きながらお辞儀した。

「マナちゃんか。…マナちゃん。俺に過去を見つめなおすチャンスをくれて本当にありがとう。この一週間で悟りを開いた気分だよ。自分自身がしっかり見えて、今までにない優しい心を持てた気がするんだ。この感じ、マナちゃんと出会わなければ一生味わえなかったと思う。」

「…心配して見に来なくてもあなたはもう大丈夫でしたね。」

「俺さ!昼休みにでも実家に電話してみようと思うんだ。家を出て以来、声も聞かせてなかったからさ。…!おっと!こんな時間か!じゃっ!」

「…頑張ってください。」

マナは一粒の涙をこぼした。