「例えば……あなたが小学1年生の時のことなんですけど、下校の時に2人の男の子から遊びに誘われました。1人は野球をしようと、もう1人はテレビゲームをしようと。そこであなたは迷わずテレビゲームを誘った子について行きました。それが間違いだったのです」

彼女はパタンと本を閉じた。

「誰と遊ぶかで運命がコロコロ変わってたまるもんか!ありえない!」

「人生は些細なことで道がどんどん枝分かれするんです。その時もし野球をしていれば、あなたはその日の試合でサヨナラヒットを打って英雄になってたんです。そこであなたは野球の楽しさをしり、のめり込んでいきます。当然周りの友達も今と全く違う。そこからもいくつか分岐点がまた訪れるんですけど、上手く選択していたら甲子園にも出れたかも。」

「……嘘だ。」

俺はまた泣きたくなった。

「嘘じゃないの。最近でいうとですねぇ。」そういうと彼女はまたパラパラと本をめくりはじめた。