病院に着くとそこには親父がいた。

「あきら。久しぶりだな。」

親父の顏、久しぶりに見たな…。

「…久しぶり。母さんは?」

「…あきら。母さんとしっかり話してこい。母さんな、お前が家を出てからずっとお前のこと心配してたんだ。ちゃんとご飯食べてるか、仕事は順調か、結婚はまだか…てな。最後に今の自分をしっかり話して安心させてやってくれ。」

親父は泣いていた。

「今の自分か…。」

母さんはもう助からないんだろう。そんな母さんに今の生活ぶりを正直に話していいものだろうか。金もなく、仕事も契約社員で彼女もいない…。きっと悲しむに決まってる。嘘ついてでも安心させてやろうか……。

!!!まさか…、まさかこれが選択なのか!!?正直に話すか、嘘をつくのか…。こんな急に選択を迫られるのか!?どっちが正解で、どっちが母さんのためになるんだ…。

「さあ、時間がない!早く病室に入れ。」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!!まだ何て言うか決めてないんだ!!」

「時間がないって言ってるだろ!さあ早く!」

俺は病室に押し込まれた。そこには痩せ細った母さんが横たわっていた。