~ キーンコーンカーンコーン ~

昼休みのチャイムが鳴った。俺はすぐに緊張しながらも実家に電話した。

プルルルルルルルルルルルルルル……

「…はい。松本です。」

………親父か??

「…俺。あきらだけど。」

「!! あきら!?あきらなのか!!?なんという奇跡だ!」

父親は大声を張り上げた。

「何で平日の昼間に親父がいるんだよ。母さんは?」

「母さんな…、一週間前に倒れたんだ。末期がんだ。もう無理らしい。今から病院に戻るつもりなんだが、お前来れるか?」

「どこの病院だよ!?」

俺ははすぐに工場長に事情を説明し、早退した。会社を出ると同時にあゆみに電話をかけた。

「あゆみちゃんか?俺だけど、母親が倒れたらしい。今夜の埋め合わせは必ずするから!!」

「!!? そうなんですか!!私のことはいいから早く行ってあげてください!!」

「悪い!!」

電話を切った後、すぐにタクシーをつかまえることができた。行き先を告げ、俺は後部座席に座り、目を閉じた。

(俺がちゃんと連絡先を教えていれば、こんなギリギリにならなかったのに…。)

また俺は後悔した。