―コンコン。


執事、那波千鶴は見慣れた凜お嬢様の自室の扉をノックする。

片手に持たれたホットミルクを眺めまた小さくため息をつきながら、


「どうぞ」


物凄く機嫌の悪るい口調で返事が返ってきた、まあ、これもいつもの事である。


『ホットミルクをご用意しましたが、お召し上がりになられますか?』

「・・・しょうがないわね、勿体ないからいただくわっ!」


強がりだな、仕方のないお嬢様だ。そう心で呟きながらフッと執事は微笑した。

ふーふーとホットミルクの入ったカップを両手で持ち少しずつ飲む可愛いらしいお嬢様の姿。

・・・いつもこうであって欲しいものだ。


「那波・・・」


ふと、お嬢様はぼーっとしながら名前を呼ぶ。


『何でしょうか。』


いつものように那波は問う。