涙がこぼれ落ちる、その前に。





もう一段上がってその名前を聞くと俺は言葉を失った。




俺の……、名前…。




か細い声で俺の名前を何度も呼ぶ、目の前の人。




その時、確信した。




この人は"君に似てる人"じゃなくて"君"なんだ、って。




俺の名前を呼んだのは…………、君。




その瞬間、俺の中でたくさんの思いが駆け巡る。




君は俺が転校すること知ってたんじゃないか、




君は俺が別れを告げようとしてること知ってたんじゃないか、




君は、俺を嫌いで別れた訳じゃないんじゃないか――…。