いつしかその目に吸い込まれそうになって…

目がそらせなくなる



「かのんちゃん・・・だよね?」

ドクン

止まっていた心臓が急激に動き出す


会いたかった


会いたくなかった


忘れたかった



けど

会いたかった


「あっ・・・」
声が震えて出ない








遠くから
この時間が終了する声が聞こえた

「花音さん~
そろそろ寒くなってきたんで
帰りますよ」



「はい」

看護師さんが来て
距離が遠くなっていく




私は一回も振り向かなかった




「ここで待ってるから」

最後に背中に届いた
愛しい声


きっと
待っててくれたんだ

来てくれるかも分からなかったのに

ずっと・・・



涙が出てきた