「「せーの」」


もう1人では
車にさえ登れない



移動はいつも車いすだ



「ふぅ」

移動するのも一苦労


でも





これから待っていることを考えれば

頑張れる











何時間も
車に乗った




______________


「花音ちゃん」


「生きてね
俺を信じて」



柔らかい髪がなびく


優しい顔が
ぼんやりと浮かぶ



「花音ちゃん」


甘い低い
大好きだった声が聞こえる



______________




「ゆ・・・う・・・く・・・ん」





「花音さん
花音さん
着きましたよ?」



「あっはい」


寝てた

完全に寝てた






「「せーの」」