車の中で
ただぼーっと


空を見つめてた








前は鳥が羨ましかった

今でも羨ましい



自由で
のんきで
気楽で・・・





生まれ変わったら
トリになりたい・・・








「花音さん
具合悪くないですか?」




・・・



何にも
聞こえないふりをした




ただ
1人の世界に入っていたい







ただぼーっと
外を眺めていたい



自分が生きた街を
見つめていたい








時間は止まってはくれない
車も止まってはくれない

ただ
生きてきた
思い出の場所を



通り過ぎていく





何年間も
暴力を受けてきた家

何年前かに
愛情を受けてた家

どんな家だろうと

もうここには居ない家族と過ごした場所__







家から
毎日通った
公園


ここで
優くんは初めて私に話しかけてくれたよね?

『いっつもここにいるよね?』
って

自分の事を見てくれる人がいた


って思った







『じゃあウチに来るか?』
って言ってくれた

『今日からココが花音ちゃんの家だ』
新しい私の家

優くんのにおいが
たまらなく好きだった

落ち着いた







私の好きな花が咲いてた所_

『君を忘れない』






優くんが言った
『ここは俺の大切な場所』
大きな大きな海だった


優くんの心みたいに
大きくて
温かくて
優しい

海だった








海は
ずっと通じてるよね


空は
ずっと通じてるよね





優くんと同じ空を見れればいい




かばんからケータイを出す


ピッ
ピッ
ピッ

優くんのアドレスを消した
自分のアドレスを変えた




優くんと連絡をしないように・・・

自分から
連絡を取れないようにした




優くんは
もう

思い出にする



思い出は
色あせないから・・・