その夜、私は初めて新宿歌舞伎町に足を踏み入れた。眠らない街の喧噪に驚く。
もう誰にも頼らない。手術費用はあたしが一人で用意する。
愛那は死なせない。誰もあたしから愛那を奪わせない!

私は新宿で夜の仕事探つもりだった。それが一番手っ取り早く収入を得ることができると思ったから。
行き先のわからずに歩いていると、スカウトマンが声を掛けてきた。
「たくさん稼ぐにはどこで働けば良いんですか?」
いきなり聞いた私にスカウトマンは驚いていたけれど、すぐに条件を聞いてきた。
「いくら稼ぎたいですか?」
即座に答える。
「百万です」
「キミくらい可愛ければ、半年も掛からずにそれくらいは稼げるさ。いい店紹介するよ」
「やります」
それがどんな店でどんな仕事内容なのか、具体的にわからなかったけれど、何でもする覚悟で即答した。
愛那のために、自分はどうなっても構わない。